“ハマるな危険”「就活生」がハマってしまう59の罠で語られている「罠」は具体的にどのようにはまっていくのでしょうか?
友達や先輩の言葉に惑わされて「罠」にハマっていませんか?
ここでは「よくある風景」として罠にはまっている就活生の一場面をご紹介します。
――3月、さとしとたいちは大学が主催する学内合同説明会に参加していた。
さとし:
うわあ~。たいち、この企業のリスト見ろよ。今日一日だけで20社も企業が来るんだってよ。
たいち:
ああ。で、3月は月曜から金曜まで、これが毎週あるから……大体200も企業が説明しに来るのか。すごいとしか言いようがないな。
さとし:
何だかんだ言ってウチの大学もネームバリューあるんだろうな。これだけの数の企業を呼べるんだから。
たいち:
数だけじゃないぞ。ここはよくテレビでCMやってる食品の会社だろ。そしてここはあの漫画雑誌を出してる出版社だし、ここは……いや、ほんと誰でも知ってる大企業ばっかりだな。
さとし:
だよなあ。こんな企業に入れるかもしれないなんて、俺たちホントにラッキーだよなぁ。大学受験頑張ってよかったなぁ……
たいち:
まったくだよ。……で、どうする?まずはどこの説明会に行く?
さとし:
まずはこの……海運?とかいう業界の会社に行こうぜ。さっきざっと調べたんだけど、都心にオフィスもあるし、給料も高そうだし、とりあえず行ってみないか?
たいち:
そうだな。色々な業界や企業を見ておけってよく言われてるし、行ってみるか。あわよくばエントリーしておこうぜ!
さとし:
ああ、どうせ話を聞いてエントリーするだけならタダだしな!
どうやら2人はめぼしい有名な企業を中心に、学内の説明会を回るようです。
学生には知り得ない、いい企業があるのも知らずに。。。
ちなみにこちらに社会人には当たり前、でも学生には馴染みのない「BtoB」の企業の中からオススメの16の企業をご紹介しています。
――5月の中旬、初めての面接を控えるさとしは、大学のゼミでたいちに出会った。
たいち:
おーっす……なんだ、明日には初めての面接があるっていうのにゼミに顔を出すなんて、ずいぶんと余裕みたいじゃないか。準備は万端で緊張してないってか?
さとし:
こら、ゼミも大事だろ。教授に聞かれたらどうする……まぁ、実は俺だってできることならサボりたかったけどさ。
たいち:
ははは。正直なのは悪いことじゃないぜ。じゃあ、なんでサボらなかった?面接の準備でもしてりゃいいのに。
さとし:
準備はしたさ……いや、しようとした。けどな、何だか身が入らないんだ。
たいち:
ん?どういうこと?
さとし:
面接のために、企業のことを調べたり、面接対策の本をもう一度読んだりとかしてみたんだけどさ……結局これ、役に立つのか?意味ないんじゃないのか?って思っちゃうんだよ。
たいち:
あー、そういえば面接ではあまり大したことを聞かれないって、先輩も言ってたっけ……
さとし:
そうそう。俺のサークルの先輩はその会社が属してる業界や事業についてろくに知らなかったんだけど、なんだか面接官と相性がよくってスルスルっと内定もらっちゃったんだよ。本人曰く、「何か受かった」ってさ。
たいち:
「何か受かった」か……いやー、俺もそんな風に言ってみたいもんだね。でもそういう実体験を聞くと、確かに就活ってその企業と縁があるかないかで決まるのかもな
さとし:
そうそう。だから最低限のことをやっておいて、あとは本番で何とかするしかないのかも、って思ってる。で、変に面接のことを考えすぎて暗くならないように、今日はゼミに来たってわけ。
たいち:
平常心を保つってわけか。へえ。案外しっかりしてるじゃん。。。
プレゼンがうまいと言われる一流のコンサルタントでさえ、大切なプレゼン前は必ず、会議室に1~2時間籠り、ぶつぶつ練習をしているのに。。。考えると不安だからと目を背け、準備なしでジャンプして結果を出せるでしょうか。。。
――6月、選考が解禁されてから一月が経過し、さとしは各企業の選考段階に入っていた。
さとし:
……今週一次面接を受けた企業はダメだったか……お祈りメールって結構辛いんだな……いやいや、来週は絵空グループ、棚餅商事、豚珠通商の選考が入ってる。面接はまだまだこれからだし、がんばらなきゃな……
太郎:
おう、さとしじゃないか。今日は大学に来てたのか……スケジュール帳から目を放しゃしねぇのかおい。
さとし:
冗談だよ。お前こそ大学に来てたのかよ。企業の選考が始まったころだから、しばらくはお前も面接にかかりきりだとばかり思ってたんだけどな。
太郎:
ああ、それなんだけどさ。実は俺、内定を一社からもらったから、余裕ができてな。今日受けるはずだった企業の選考はキャンセルしたんだ。だから今日は息抜きに大学に来たってわけ。
さとし:
は?内定が出た?もう?一体どこの企業さ?
太郎:
ウンベルト・プロダクトっていう、インテリアを扱う会社さ。小さい会社だから、インテリア業界を受けてないと多分知らないと思うけど……
さとし:
ああ、悪いけど全然知らない……ていうかそもそもお前、何でインテリア業界を受けてるの?確かお前は建設とか鉄道関係みたいな、街を作ったり開発したりする仕事がしたいはずじゃ……
太郎:
そのつもりだったんだけどさ……就活で色んな業界を調べたり、試しに説明会に行ってたりしたら、何だか家の中に置く雑貨とかに興味がわいてきちゃってさ。これも面白いかなーって思えてきちゃって。で、どうも波長が合ったのか、そのまま選考が上手く進んで、内定を貰えちゃったのさ。
さとし:
良かったな太郎!……ああ、でもそうか、インテリアか……そういうのも楽しそうだなぁ。
太郎:
何ならお前も受けてみたらどうだ?インテリアって聞くとパッとイメージがわかないけどな、結構色々とジャンルが分かれてて奥が深いんだ。もしかしたらお前もハマるかもよ?
さとし:
あー、でもいいや、俺はもう心に決めた業界があるから、そこに絞って受けるよ。
太郎:
そうか……一つに道を決めるのもお前のいいところだ。心置きなくやったほうがいいぜ。
さとし:そうするよ。ありがとうな。
自分の小さいころからの夢を実現させるのは素晴らしいことです。でも、無限にある可能性に蓋をしてしまう場合もあります。そうならないように未知の志望業界を”なんとなく”外すことのないように。もっと柔軟に考えてみましょう。
――選考が解禁されて一月。たいちもまた、連日続く選考に追い立てられていた。今日も選考を受けたその足で、ゼミの発表の資料を集めるため、国会図書館にやって来ていた。
たいち:
……リクルートスーツを着てる人、思ったよりいるんだな。あの人たちも見た感じ俺と同い年くらいだし、やっぱり面接帰りに卒論とかの準備をしに来た就活生なんだろうか。みんな苦労してるんだな……
――たいちが資料の書籍を探していると、向かいの書架からの小声での会話が聞こえてくる。
和也:
……で、そっちはどうなったの?
雄一:
上手くいってないね。やっぱり面接がダメだ。集団面接で上手くいっても、今度は個人で落とされる。どうすればいいのか、よくわかんないよ。
和也:
俺も同じような感じ。集団面接はテンプレートな質問だから積極性を見せてればどうにかなる気がするんだけど、個人面接になって深く質問されるともうダメ。底が浅いって見抜かれてるのかね。
雄一:
まー。面接官も、普段そんなこと考えて生きてねーよ、ってこと訊いてくるしな。もう勘弁してもらいたいよ。
和也:
ホントそう……ああもう、学生はそりゃ社会人に比べれば自由だけれど、だからって無尽蔵に好きに使える時間があるわけじゃないんだから、「きっと勉強時間以外に特別なことを思いっきりやってるに違いない」とか……ないよ。
雄一:
面接官は理系ラボ畜と多量の判例に襲われる法学徒の気持ちがわからない……ああ、話し込んじゃったな。それじゃあ俺はそろそろ行くよ。実験の英語発表準備があるから。
和也:
俺も、無駄な時間を使っちゃって悪かったね。就活が終わったら思いっきり愚痴り合お。じゃあ。
――それきり、書架の向こうから話し声は聞こえなくなった。たいちもはっとして、時間を有効に使わなければと思い、あくせくして自分の探す資料を探しに行った。
皆さんには就職活動中、腹を割って話せる友人がいますか?
自分だけが内定を獲得していないという状況になったとき、応援してくれる、支えてくれる「仲間」はとても大切です。
――旅行とそれに関わる業界を中心に受けようと考えている智也。就活サイトで企業の説明会を探していると、気になる企業の説明会の告知を見つける。
智也:
DDDトラベルサービスか……ここも面白そうだな。説明会は……ある。スケジュールも問題ないし、行ってみようか……ああ、まただ。『自由な服装でお越しください』。
雅紀:
智也先輩、どうしたんですか?すごく変な顔してますけど。
智也:
ああ雅紀……いや、就活がらみの悩みでさ。これから色んな企業の説明会に行く予定なんだけど、その中で時々、『自由な服装で来てください』とか書いてくるところがあるんだよね……これに出くわすのが嫌で、嫌で。
雅紀:
どうしてですか?自由な服装でって言ってきてるなら、別に悩むことなんてないと思いますけど。
智也:
まあ言葉の通り受け取るならそうだけど……例えばさ、もし雅紀がゼミの担当教授にどうしても出さなきゃいけないレポートを提出するのを一ヵ月くらい忘れてて、それを突然思い出して教授に謝って、教授から『怒ってないですよ』とだけ書かれてるメールが送られてきたら……教授は許してくれてると思う?
雅紀:
……絶対激怒してますよね……許してくれそうにないですよね……そうか。例えはアレですけど、先輩が言いたいことはわかりました。先輩は『自由な服装』が何か、よくわからないんですよね?
智也:
そうなんだ。普通に考えれば就職活動で企業を訪問するんだから、スーツを着ていくはずだよね。けど、それなら『スーツ着用』って書いてくるはずなんだ。けどそう書いてないってことは、むしろスーツじゃなくて私服を着ていったほうがいいのか……それとも、「自由にスーツを着てきました」とするのか……深読みしすぎちゃって、わからないんだ。
雅紀:
先輩、刑事ドラマ観ても「こんな放送が始まってから中途半端な時間帯で見つかる証拠が重要なはずがない」とか言ってひたすらあらゆることを疑って結局推理を外すタイプですからねー。……でも、確かに服装は不安ですよね。他の就活生と違った服装で行って、浮いちゃうのとか嫌ですもん。
智也:
でもスーツを着ていくと、個性がないのも確かなんだよ。本当にみんなと同じような恰好で、自分が埋もれているような感じもする。だから、自分をアピールするために、ここはいっそ落ち着いた感じの私服で行ってみてもどうかなとも思うんだ。どうせ説明会だ、まだ選考にかかわりはないはずだし。
雅紀:
うーん……一体、何を着ていくのが正解なんですかね?
就活において見た目で大切なのは、「かっこいいか?」とか「おしゃれか?」ではなく、
社会人として、違和感がないか?
です。自分の価値観や、友達の意見ではなく、社会人の先輩に実際に着た姿を見てもらえれば安心でしょう。
みなさんのそばに、ご両親や、ご兄弟、社会人になった先輩方。。。きっと社会人をしてる人がいるはずです。
――とある日、大学の学食で勉強をしていた竜也は、リクルートスーツ姿で、何か退屈そうに本を眺めているたいちを見かけた。
竜也:
何をそんな死んだ目で見てるんだ、たいちよ……
たいち:
ああ、竜也か。これはあれだよ、SPIの問題集だよ。
竜也:
SPI……ああ、企業が入社試験で出してくるっていうあれか。なら大事なことじゃないか。真面目にやらなきゃ。
たいち:
う~~~ん。そうなんだけど……そうだ竜也、ちょっとこの問題見てくれよ。
竜也:
俺が?
たいち:ああ。そうすれば俺の気持ちもわかるからさ。
竜也:
うーん、俺就活しないからあんま関係ないんだけどさ……
――たいちに言われるまま、竜也はSPIの問題集をパラパラと捲る。
竜也:
……なんだこれ?この言語っていう国語の問題……大学生を馬鹿にしてんの?
たいち:
やっぱ、お前もそう思うよな?
竜也:
ああ、こんなの高校……というか、中学レベルじゃないのか?ヌルすぎる……あ、でも非言語ってジャンルもあるのか。こっちは数学問題なんだ。こっちは――ああ、こっちはまだ言語に比べたらやりがいがありそう。……だけど、すごく難しいってわけでもない、か。
たいち:
そうなんだよ。SPIって名前だけは横文字で構えちゃうんだけど、問題をちょっと一通りやっておくと、試験でも大概受かっちゃうんだよ。
竜也:
大概受かる?今までどのくらい試験を受けて、どのくらい合格したんだ?
たいち:
んー、今までに7社くらいSPIの試験を受けて、5社受かった。落ちた二つのうちの一つは、SPIじゃないまた別の形式の難しい試験だったせいで落ちたから、実質今まで一つしか試験は落としてない。ちなみに、ろくに勉強はしていない状態で。
竜也:
は~、そんなもんなのか。そんなに楽なら俺も院目指さないで就活すればよかったかな?……まあ、そんな楽なもんじゃないか。就活は試験よりむしろ面接が大変らしいし。
たいち:
そうなんだよ。時間はESやら面接の対策に割かなきゃいけないんだ。かといって、SPIの準備を何にもしないのは不安。だけどSPIの内容もそんなに歯ごたえがないし、多分受かるだろうって考えると、やる気がな……
竜也:
なるほどな。だからあんな死んだ目をしていたわけか。……まあ俺たちもそれなりに今まで勉強してきてその分の経験値があるし、勉強はそこそこにして別のことに時間をつかったらどうだ?
たいち:
それもそうか……よし、じゃあESでも書くか!!
言語が概ねできるからと、非言語に目を背けてしまうと、損をしてしまいます。SPIは、きちんと対策すれば絶対に結果が出せるもの。そして企業に「地頭の良さ」をアピールできる武器にもなります。
SPI対策はいつからでも始められるもの。ESの締め切りや面接対策に忙しくなる前に、早めに自分の就活を楽に乗り切れる武器をぜひ身に付けておきましょう。